腎臓は様々な原因で悪くなりますが、2000年代に入って慢性腎臓病(CKD)として、考え方や治療法がまとめられてきました。
慢性腎臓病(CKD)とは「何らかの腎障害が3ヶ月以上持続する場合」と定義されていて、蛋白尿や腎機能異常(eGFRの測定)により診断されます。
慢性腎臓病が進行すると尿が作られなくなり、最悪の場合、透析治療が必要になります。
早期発見、早期治療が重要です。しかし厄介なことに、自覚症状はほとんどありません。
そのため健康診断を受けることが、とても重要になります。
今回は、検診で尿たんぱくやeGFRをチェックされたときのポイントを解説します。
腎臓に何らかの異常が起こると、自覚症状はなくとも尿に蛋白が出てくることがあります。
尿検査は慢性腎臓病早期発見のために、とても大切な検査です。
正常は陰性(−)です。
弱陽性(±)は生活習慣の改善を心がけ、2年連続して(±)なら医療機関を受診することが勧められています。
陽性(+)以上なら、すぐに受診することが大切です。
eGFRとは血液検査のデータで、腎臓の能力を示した値です。
eGFRが低くなると老廃物が尿へ排泄されず、さまざまな不調が出てきます。
正常は60以上です。
45〜59のヒトは一度医療機関で診てもらいましょう。
44以下のヒトは、かなり腎臓が悪くなっています。すぐに医療機関を受診しましょう。
腎機能低下で受診したときには、まず重症度を調べます。
より重症な人は、腎臓専門医へと紹介します。
治療の目標の一番目は、もちろん腎臓の悪化を食い止めることです。
二番目は、心臓病の予防です。
「腎臓で引っかかったのに、なぜ心臓病?」とギモンに思う方も多いでしょう。
実は腎臓が悪くなると、心臓病が起こりやすくなるのです。
基本は減塩、運動、充分な睡眠、充分な飲水などの生活習慣の改善です。
近年は夏に猛暑となりやすく、汗をかくことが多くなりました。
意識して水分を摂ることが、腎臓を守るために重要です。
お薬ではSGLT-2阻害薬が、蛋白尿を伴った慢性腎臓病に使われることが増えてきました。
SGLT-2阻害薬はもともと糖尿病の薬ですが、高い腎臓保護効果も併せ持ちます。
慢性腎臓病では動脈硬化が強くなり、狭心症・心筋梗塞が起きやすくなります。
心臓病の予防で最も大切なのは、血圧とLDLコレステロールを下げることです。
特にeGFR 59〜30のヒトは、薬でLDLコレステロールをシッカリ下げることが勧められます。
ここ数年で慢性腎臓病の治療法は、格段に進歩しました。
一旦腎臓が悪くなると、元に戻すことはとても難しいのです。
減塩、こまめな水分摂取など、普段の生活習慣を整えて予防することが、とても大切です。
あわせて検診を受け、早期発見することも重要です。
大切な腎臓を守ることを、是非意識してみてください。