日本人女性の10人に1人は貧血であり、月経のある女性に絞ると、なんと5人に1人が貧血と言われています。
貧血のうち、最も多いのが鉄欠乏性貧血です。
貧血の症状として、たちくらみ、ふらつき、疲れやすさは、良くみられます。人によっては、頭痛もみられます。特に月経のある女性は、鉄欠乏性貧血の可能性があります。
他にめまいや疲れが見られる病気としては、
・甲状腺の病気
・いわゆる「めまい症」
・心臓病
・肺の病気
・肝臓病
・腎臓病
などがあります。
ダイエットをしている人では、鉄分をはじめとする栄養のバランスが悪くなり、貧血とともにめまいや疲れが見られることもあります。
めまいや疲れやすさを感じたら、原因を調べる必要があります。一度受診して下さい。
月経時には血液が失われるため、2つの貧血になりやすいです。いずれもふらつきを起こすため、予防が必要です。
こちらはヘモグロビンの量が低下して、起こります。鉄欠乏性貧血の事がほとんどであり、普段から鉄分の多い食事を摂ることが大切です。
こちらは脱水や神経反射のため、脳に血液が届きにくくなって起こります。予防には、意識してゆっくり立ち上がることや、食事や水分をきちんと摂ることが大切です。
いずれにせよ、通常であれば内科を、経血量(けいけつりょう)が多い時には婦人科を受診することを、オススメします。
鉄剤の代表的な副作用がむかつきで、全体の20%くらいに見られます。治療に影響が出るため、対応が必要です。
具体的には、
・食事中に飲む
・寝る前に飲む
・鉄含有量の少ない錠剤を選ぶ
等があります。
むかつきがひどくて、どうしても鉄剤を飲めない場合は、鉄の注射薬を使います。週1回程度来院してもらい、注射します。
鉄剤でムカムカしても様々な方法があるので、通院は自己判断で中止せず、主治医と相談してください。
貧血は、血液中のヘモグロビン値で判定します。基準は医療機関ごとに多少違いますが、男性では13g/dL、女性では11g/dLを下回ると、貧血となります。
ただ、貧血による症状が出てくるのは、多くの場合8g/dLを下回るようになってからです。
またヘモグロビン値が正常でも、既に鉄分が不足している場合もあります。
レバーは食材の中で、最も鉄分を多く含んでいます。ただ、どうしてもクセがあるため、苦手な方も多いでしょう。
レバー以外に鉄分を含む食材には、以下のモノがあります。
ヘム鉄
・赤身の肉(牛肉など)
・赤身の魚(マグロ・かつおなど)
・牡蛎
非ヘム鉄
・小松菜
・ほうれん草
・そら豆
・大豆製品
一般的に、ヘム鉄の方が非ヘム鉄より吸収が良いと言われています。
しかし、最近ではヘム鉄、非ヘム鉄をあえて区別せず、必要な鉄分を摂ることが大切と考えられています。上のような食材を、積極的に取り入れてみてください。
鉄の吸収率を上げるため、鉄分の多い野菜にビタミンCを含むドレッシングをかけたり、コーヒーや緑茶を控える事も有効です。
日本で発売されている鉄のサプリメントは、ほとんどが1日量10mg以下です。処方される鉄剤は、1日量が100〜200mgです。圧倒的に量に違いがあります。
治療には、診療所などで処方される鉄剤が最適です。
サプリや鉄剤で、まれですが、体内の鉄分が多くなりすぎることがあります。特に海外のサプリは鉄含有量が多いので、要注意です。
定期的な採血を行い、貧血の改善具合、鉄の補充具合を確認しましょう。
多くの場合、6〜12ヶ月です。
鉄剤を飲み始めると、通常1ヶ月くらいで貧血は良くなります。しかしそこで鉄剤をやめると、またあっという間に貧血になります。
貧血が良くなっても、身体に鉄分を貯める必要があります。鉄分が貯まって初めて、貧血になりにくい身体となります。
血液検査で調べますが、多くの場合鉄分が貯まるまで6〜12ヶ月かかります。十分貯まったら、内服終了となります。
鉄欠乏性貧血は多くの場合
・経血量(けいけつりょう)が多い
・食事で十分な鉄分を摂れていない
という事が原因です。まずは月経の状態を確認し、食事のバランスが偏っていないか、確認してください。
生活習慣を改善しても、貧血になる人もいます。そのような方は、貧血になったら、6〜12ヶ月程度通院してもらっています。
閉経を迎えると、貧血になることはぐっと少なくなるため、そこまでガンバるよう、お話ししています。
また、貧血を起こす病気には鉄欠乏以外に
・白血病などの血液病
・ビタミンB12不足
・胃がんや大腸がん
・腎臓病
など、さまざまあります。実際、胃がんや大腸がんが見つかることも、良くあります。
胃がん・大腸がんについては、こちらをご覧ください。
→消化器内科
まれにヘリコバクターピロリ菌が原因で貧血になっている人もいます。その場合には、除菌も考慮します。
ピロリ菌については、こちらをご覧ください。
→ピロリ菌とはなんですか?
貧血が見られたら、診療所で調べてもらう事を、オススメします。