ウイルス性(感染性)胃腸炎

気分が悪いと思ったら、突き上げるような吐き気、キリキリとした腹痛、水のような下痢。おなかに力も入らず、ぐったりする。

 

感染性胃腸炎は、かなりつらい病気です。

 

ウイルス性(感染性)胃腸炎

 

感染性胃腸炎は「ウイルス」によるものと「細菌」によるものがありますが、一般的な病原体は「ウイルス」です。ここでは流行しやすい、ウイルス性胃腸炎を取り上げます


ウイルス性(感染性)胃腸炎の症状

ウイルス性(感染性)胃腸炎

 

悪寒、吐き気、嘔吐、腹痛、下痢、だるさ、節々の痛み、が代表的です。子供は嘔吐が多く、大人は下痢が多く見られます。

 

また症状の出る順番が大切で、吐き気の後に下痢が続くことがほとんどです

 

>ウイルス性胃腸炎の種類

ウイルス性(感染性)胃腸炎

 

1)ノロウイルス
原因として、最も割合の高いものです。感染力が強く、頻繁に流行をおこします

 

2)ロタウイルス
主に小さな子供の間で流行します。便が白っぽいことが特徴です。

 

3)その他
アデノウイルスなど、数種類が知られています。


ウイルス性(感染性)胃腸炎の治療

ウイルス性(感染性)胃腸炎

ウイルスによる違いはありません。普通は自然に治るため、安静と経口水分摂取、つまり脱水の治療が基本です

 

最初はかなりゲーゲーと吐きますが、それが治まると水分を摂れることが多く、少しずつ経口補水液を飲みます。あとはおなかの様子を見ながら、消化の良い食事を少しずつ口にしてください。

 

下痢も自然と治まることが多いです。

 

ウイルス性(感染性)胃腸炎

 

1)経口補水液
嘔吐、下痢等の時に用いる、医療用のイオン飲料です。スポーツドリンクよりも吸収が良く、胃腸への負担が少ないのが特徴です。

 

普段はしょっぱく感じますが、胃腸炎の時は気にならない人が多いようです。1回に20〜30mL前後と、少しずつ飲むのがコツです

 

2)クスリ
基本的にクスリは不要です。症状が強いときには、吐き気止めや整腸剤を使うことがあります。なお、点滴は今は重症者のみに行っています。

 

どの様なときに病院に行けば良いか?

 

ウイルス性(感染性)胃腸炎

 

1)ぐったりして水も飲めないとき
2)症状が激しいとき
3)腹痛がひどくなってくるとき
4)本人、家族が心配なとき

 

などです。症状が強いとき、長引くときには、感染性胃腸炎以外の病気を疑って、検査を行う必要があります。

 

胃腸の病気については、こちらをご覧ください。
→消化器内科


吐いたものや下痢の処理

ウイルス性(感染性)胃腸炎

便や吐物には、ウイルスがいます。もし床などに吐いてしまったら、使い捨てのマスク・手袋を着用し、処理します。その後、床を次亜塩素ナトリウム入りの消毒液で拭いてください

 

下痢の付いたおむつも、手袋をしてビニール袋に入れ、しっかり封をした上で捨てましょう。

 

次亜塩素酸ナトリウム入り消毒液の作り方

1)500mLの空ペットボトルに、水を半分くらい入れる
2)家庭用塩素系漂白剤(キッチンハイターなど)を
 a)ドアノブやトイレの掃除用なら2mL(ペットボトルのキャップ半分)
 b)吐物の処理なら10mL(ペットボトルのキャップ2杯)
入れ、よく混ぜる
3)最後に水をペットボトルいっぱいに入れる

 

スプレーヘッドをつけると便利です。時間が経つと効果がなくなってくるので、使い終わったら処分しましょう。また、色落ちすること、皮膚に付けないこと、などにも注意です。


ウイルス性胃腸炎にかかったら、どのくらい休む?

ウイルス性(感染性)胃腸炎

学校保健法では、下痢が治まり元気になったら登校可能です。一般企業も、この基準を採用していることが多いです。

 

ただ食品関係の会社では、下痢が治まった後さらに数日、休みにする所もあります。それぞれの会社に相談してください。


予防法

ウイルス性(感染性)胃腸炎

ウイルス性胃腸炎は感染力が強く、家族間や集団生活の中で簡単にうつります。トイレはなるべく換気を良くし、こまめに手を洗うことが、感染予防となります

 

ウイルス性(感染性)胃腸炎

 

ただ、ウイルスはほんの少し口に入るだけで感染することもあるため、100%の予防法はないのが現状です。規則正しい生活をし、疲れをためないことが、症状を軽くするために一番大切です
(なお、0歳児にはロタウイルスのワクチンがありますが、当院では行っておりません)。

 

ウイルス性(感染性)胃腸炎

 

ウイルス性胃腸炎は症状が激しく、脱水のため体力が奪われます。しかし、ほとんどが自然に治ってきます。かかったかな?と思っても、きちんと対応法を知って行動しましょう。