(2024年6月12日)
皆さんこんにちは。健康診断で心雑音をチェックされるヒトが、最近増えています。
「心臓に雑音が少しあるかも??と曖昧な言われ方をされた」
「以前は心雑音と言われなかったのに、今回だけ指摘された」
「心雑音で検査して『異常なし』と言われたが、なぜ雑音がするのか?」
患者さんは、不安を抱えて受診します。
本ブログではこのようなギモンに答えながら、心雑音におけるクリニックの対応を解説します。
心雑音って、判別するのがとても難しいのです。
循環器専門医は次のようなトレーニングを経て、ようやく一人前になります。
1)雑音の出るメカニズムを理解する
2)デモ音源を聴きこむ
3)実際に聴取する
4)心エコーで確認する(答え合わせ)
本来なら循環器専門医が健診を行えば良いのでしょうが、内科医の16%程度と多くありません。検診医として診てもらうチャンスは、とても少ないでしょう。
そんなわけで、心雑音の説明は切れ味が悪く、曖昧になりやすいのです。
さらに「心雑音があるのに正常」という事態も、コトを複雑にしています。
心臓病がないのに聞かれる雑音は「無害性雑音・機能性雑音」と呼ばれます。
理由はよくわかっていないのですが、心臓の構造からは次のようなメカニズムが考えられます
・心臓の中は様々な凹凸があるため、血流は清流にならず、雑音が出る
・狭い弁を一気に血液が通るため、雑音が出る
心臓病がないため「異常なし」の心雑音となります。
検診医のレベルは上がっているため、今後とも機能性雑音をチェックされる方は増えると思います。
毎年引っかかるヒトは、同じ循環器内科で見てもらうと便利です。
心エコーなどの資料がそろっているため、場合によっては精密検査をスキップするコトもあります。
心雑音は患者さんの状態・部屋の環境などによって、聞こえたり聞こえなかったりします。
緊張して血圧が上がったり、脈が速くなったりすると、聞こえやすくなります。
学校検診など、部屋がうるさかったりすると、聞こえにくくなります。
子供の頃は心臓が胸壁に近くて心雑音が聞こえても、大きくなるにつれて離れるため、聞こえにくくなります。
いずれにせよ、検診で心雑音を指摘されたら、専門医で診てもらうことが重要です。
子供と大人で違ってきます。
子供:心室中隔欠損症や心房中隔欠損症などの先天性心疾患(生まれながらに持っている心臓病)
成人:弁膜症や心筋症など
先天性心疾患は専門性が高いため、学校検診で心雑音を指摘されたら、小児科専門医を受診した方が良いです。
成人の場合は循環器内科の受診をお勧めします。
循環器内科では、問診、聴診を行い、必要に応じて12誘導心電図、胸部X線写真、心臓超音波検査(心エコー)を行います。
一口に心雑音と言っても、様々な原因があります。また対応も、経過観察から精密検査、手術まで幅広くなります。
「心臓に異常がある」と指摘されると、とても不安になると思います。
心雑音をチェックされたら、是非専門医での診察を受けてください。