健康寿命と平均寿命の差は男性で約9年、女性で約12年であり、それくらいの期間を寝たきり、もしくは介護が必要な状態で暮らす事になります。この期間をいかに短くするかは、普段の生活習慣にかかっています。
65歳以上の介護が必要になった人の主な原因(平成25年)
厚生労働省「国民生活基礎調査」
全体を見ると、「脳卒中・心臓病」「認知症」「骨折・転倒・関節疾患」の3つで、半分以上の割合を占めています。これらは、生活習慣に気を付けることで、かなり予防できます。
1)脳卒中
頭の血管がつまったり(脳梗塞)、破れて出血する(脳出血)病気です。最近では、早く気づいて早く救急車を呼ぶと、後遺症を軽くできる場合があります。
脳卒中については、こちらをご覧ください。
→脳卒中と救急車の呼び方
2)心臓病
心筋梗塞、心不全、不整脈などにより、動くと息切れや胸の苦しみが出るようになります。重症になると、寝たきりや介護が必要な状態になるため、早期発見、早期治療が大切です。
3)認知症
アルツハイマー型認知症、脳血管性認知症、レビー小体型認知症などがあります。記憶力が低下し、日常生活に問題が起きてきます。早い段階で治療することで、進行を遅らせることが出来ると言われています。
4)関節疾患
関節リウマチが代表です。今は良い治療薬があるため、関節の痛みがみられたら、整形外科で相談しましょう。
5)転倒・骨折
転倒により骨折する原因の多くは、
骨粗鬆症です。この病気は女性に多く、飲み薬による治療法があるため、整形外科で骨密度を測定して対応すると良いでしょう。
フレイルについて
フレイルとは活動性が落ちて、身体と心が「弱っている」状態です。70歳台の5人に1人、80歳以上では3人に1人がフレイルといわれています。
フレイルのチェック項目
1)食欲がなく、やせてきた
2)なかなか疲れがとれない
3)歩くのが遅くなった
(横断歩道を青信号で渡りきれない)
4)力が入らなくなってきた
(ペットボトルのキャップをあけられない)
5)出かけるのがおっくうになった
以上のチェック項目に多く当てはまると、フレイルの可能性があります。このフレイルの対策が、寝たきり予防になります。
フレイル対策および寝たきりの予防
1)持病の治療をしっかり行う
高血圧、糖尿病など、脳卒中、心臓病、認知症につながる持病は、薬を使ってでも治療した方が、寝たきりになる危険がぐっと少なくなります。
2)禁煙
タバコは老化を早め、脳卒中、心臓病、認知症、骨粗鬆症の原因になります。またタバコが原因で起こる肺気腫は、フレイルの大きな危険因子です。
禁煙については、こちらをご覧ください。
→禁煙成功の3つのコツ
3)バランスの良い食事と定期的な運動
しっかり食べ、しっかり動くことで、身体は作られます。骨と筋肉を丈夫にして、転倒と骨折の予防を行いましょう。
4)外に出て、人と会う
「こころ」が身体を動かします。外に出て人に会うことで、心身とも健やかな状態になり、フレイルの予防につながります。
5)健康診断をきちんと受ける
高血圧、心臓病、骨粗鬆症は、早期発見・早期治療が大切です。なお、健診でチェックされたら、必ず診察を受けて下さい。
以上を心がけ、健康寿命を延ばしましょう。