(2024年4月2日)
最近何となく体調が良くない。イライラしやすく、集中力もなくなった。
日々診察をしていると、こう訴える中高年の男性が増えていると感じます。
これ、もしかしたら「男性更年期障害(LOH症候群)」かもしれません。
更年期障害は女性の問題とされています。
しかし中高年男性でも「なんとなく不調」「突然のほてりや発汗」「記憶・集中力の低下」「疲労感・やる気が出ない」「イライラ」など、同じような症状が出てくるコトがあり、
「男性更年期障害」と言われるようになりました。
テストステロンという男性ホルモンの減少が原因と言われています。
女性ホルモンは45歳〜55歳にかけて急激に下がるのですが、男性ホルモンは年齢と供にゆっくり下がります。
ヒトによっては急激にテストステロンが低下し、男性更年期障害の症状が出てくることがあります。
肥満男性はテストステロンが減少し、更年期障害を起こしやすいと言われています。原因は増えてしまった内臓脂肪です。
またやっかいなことに、テストステロンが減ることで太りやすくもなってしまいます。
生活習慣の乱れで体重が増え、男性ホルモンの低下からやる気が出なくなり、動かなくなり、また太る。
悪循環に陥ってしまいます。
一方、ダイエットで肥満が解消するとテストステロンは上昇し、男性更年期障害は改善してきます。
まずやって欲しいコトが3つあります。
1)睡眠の確保
最初にやるべきコトは、睡眠時間を確保すること。テストステロンは睡眠中に多く分泌されるため、睡眠不足で男性ホルモンは低下します。
睡眠に悪影響を与えるお酒も、しばらくはガマンしましょう。禁煙も必要です。
必要な睡眠時間はヒト様々ですが、7時間は確保したいところです。
睡眠不足は太りやすいため、シッカリ寝ることで肥満予防にもなります。
2)バランスの良い食事
精を付けようと、多くの人が脂質やタンパク質が多い食事をするでしょう。
しかし高脂質・高タンパク食では、かえってテストステロンが下がってしまいます。
フライドポテト、ハンバーガー、菓子パン、カップ麺、スナック菓子などのジャンクフードも、男性ホルモンにはマイナス。
炭水化物、タンパク質、脂質、野菜、果物などを、バランス良く食べることが重要です。
3)運動
運動は男性更年期障害を改善させます。
ただし、週1-2回では不十分。1回40分程度の有酸素運動を週3回以上行う事で、効果が得られます。
「男性ホルモンを上げるには筋トレ」のイメージがありますが、少し息が上がる程度のウォーキングやジョギングも、十分効果があります。
注意点として、いきなり40分ジョギングを始めると、膝や腰を痛めることにもなります。
ゆっくりの散歩を10分程度からはじめ、カラダを慣らし、最終的に早歩きやジョギングにステップアップすると良いでしょう。
高血圧や糖尿病などで通院中の方は、かかりつけ医と相談しながら行ってください。
当院では男性更年期障害の診療をしていないため、最寄りの泌尿器科を受診してください。
まずはAMSという症状調査票で点数を付け、採血を行って男性ホルモンの値を調べます。
テストステロンは日内変動があるため、午前中の採血が推奨されています。
治療はテストステロンの投与や生活指導、漢方薬など、個々人により異なります。
男性更年期障害の代表的な症状がEDです。
しかしEDは、高血圧・高脂血症・糖尿病など、血管にダメージを与える病気でも起こります。そのため個々人で、対応は異なってきます。
全ての方に勧められるのが、運動です。
定期的な運動によりテストステロンは上昇し、血管の状態も改善されるため、適度な運動はED対策としてうってつけです。
年齢を重ねると、病気ではない体調不良が増えてきます。
もしかしたら、男性更年期障害かもしれません。
男性更年期障害は自分で対応出来るモノも多く、思い当たる点があれば、生活習慣の改善から始めてみてはいかがでしょう。