「血圧が上がってきたけど、薬は飲みたくありません。どうしたらよいでしょう?」
診察中によく質問を受けます。
高血圧治療の第一歩は生活の改善です。
ただ、生活習慣は何年も続いていてカラダに染みついているため、
問題点を見つけ出すことは簡単ではありません。
今回は血圧が上昇する主な理由と、男女ごとの対策についてお話します。
当てはまるモノを見つけて変えることで、血圧が良くなるきっかけとなるでしょう。
1. 加齢による血管の変化
年齢とともに血管が硬くなる(動脈硬化)ため、血液がスムーズに流れず、血圧が上昇しやすくなります。
2. 運動不足
働き盛りの年代は忙しく、運動量が減ってきます。これが血圧を上げることがあります。
3. 体重の増加
年齢が上がると筋肉量が減ってきて、代謝が低下します。以前と同じ食事量でも脂肪がつきやすくなって体重が増え、血圧が上昇することがあります。
4. ストレス
仕事や家庭の責任が増えることで、ストレスが溜まりやすくなります。ストレスは血圧を上げる大きな要因の一つです。
5. 食事の変化
塩分の多い食事やバランスの取れていない食事が、血圧を上昇させる原因となります。特に、外食や加工食品が増えるとリスクが高まります。
6. アルコールの過剰摂取
適度な飲酒は血圧に影響しませんが、過剰なアルコール摂取は血圧を上昇させます。
7. ホルモンバランスの変化
特に女性の場合、更年期に伴うホルモンの変化が、血圧に影響を与えることがあります。
8. 遺伝的要因
家族に高血圧の人がいる場合、体質的に血圧が上がりやすい傾向があります。年を重ねると他の要因が増えてくるため、合わせ技で血圧が上昇しやすくなります。
9. 生活習慣病
糖尿病や高コレステロールなどの生活習慣病は、血圧の上昇を引き起こすリスクを高めます。
これらの要因が重なり合うことで、血圧が上昇します。
1. 運動を生活に取り入れる
血圧管理には有酸素運動が効果的です。ジョギングやウォーキング、サイクリングなどの軽い運動を週に3〜5回、30分から1時間行うことが勧められます。
「そんなにできないよ〜」と言う人も多いでしょう。でも、5分〜10分の短時間運動を数多く行うことで、同じような効果を得られます。
体重を少し減らすだけでも血圧に良い影響を与えるため、運動は非常に重要です。
2. 食生活の見直し
減塩を意識しましょう。特に加工食品や外食には塩分が多く含まれているため、できるだけ自炊を心がけましょう。
減塩は大切です。特に山形は塩分摂取量が多い県。一日9g(通常の病院食)を最初の目標として、可能なら6g未満に抑えることが推奨されます。
野菜や果物を多く摂取することで、血圧にプラスの影響を与えます。特にカリウムの多い食材(ブロッコリーやほうれん草など)が効果的です。
3. アルコールと喫煙の管理
アルコールは適度に楽しむ程度(1日あたり日本酒1合未満、ビール500mL未満)に抑えましょう。飲みすぎは血圧を上げるリスクがあります。また、休肝日をきちんと設けることも大切です。
タバコも血圧を上げる原因になるため、禁煙を目指しましょう。
4. ストレス管理
仕事や家庭でのストレスが、血圧に影響を与えることが多いです。リラクゼーション法や深呼吸、マインドフルネスなどを取り入れ、ストレスを軽減する習慣をつけることが大切です。
5. 睡眠の質向上
睡眠不足や質の悪い睡眠は、血圧に悪影響を与える可能性があります。7?8時間の良質な睡眠を取ることを心がけましょう。
1. 運動の工夫
女性の場合も有酸素運動が効果的ですが、ヨガやピラティスなど、ストレス軽減や体の柔軟性を高める運動も血圧コントロールに役立ちます。
日常の活動に無理なく取り入れやすい運動を選び、継続することが大切です。
2. ホルモンバランスの影響
更年期に差し掛かる女性は、ホルモンの変化が血圧に影響を与えることがあります。これに対処するためには、バランスの良い食事や運動が重要です。
また、必要であれば婦人科に相談し、ホルモンバランスを整える方法を検討することも有効です。
3. 食事の改善
塩分制限に加え、鉄分やカルシウム、マグネシウムなどのミネラルをバランスよく摂取することも心がけましょう。
女性は骨粗鬆症になりやすく、骨の健康を維持することは、更年期後の健康全般にとっても重要です。
4. ストレスとリラクゼーション
女性は家庭や仕事での責任が多く、ストレスを感じやすい傾向があります。
時間を見つけてリラクゼーションや趣味に没頭する時間を作り、心身のリラックスを促すことが重要です。
5. カフェインの摂取を抑える
特にカフェインの摂取量が多い場合、それが血圧に影響することがあります。コーヒーや紅茶の飲み過ぎには注意しましょう。
男性も女性も、
働き盛りの年代は血圧が上昇しやすくなります。
原因は、人さまざまです。しかも、複数の要因が複雑に絡み合っています。
少しずつでも生活習慣を改善することで、血圧を薬に頼らずに管理できる可能性があります。
しかし、結果が出るまで時間がかかります。
焦らずに行うことが、うまくゆくコツ。
定期的な血圧チェックを行い、状態に応じて医師と相談しながら進めることが大切です。
自分でできることをやっても血圧が下がらない時は、かかりつけ医と是非相談してください。