血圧が高くて、クスリを飲んでいる人も多いと思います。
高血圧については、こちらをご覧ください。
→高血圧外来
近年はクスリが良くなり、昔に比べると良く下がるようになりました。
しかし、それでもなかなか血圧が下がらないヒトがいます。
なぜでしょう?
一つは生活習慣です。思った以上に塩分や糖分を摂っている、運動不足、遅い夕食、タバコなど、クスリでは対応でいないような原因が隠れていることがあります。
生活習慣以外の原因は何でしょう?
1)隠れた病気がある
2)クスリが合っていない
今回はこの2つについて取り上げます。
隠れた病気がないか?
血圧を上げる持病がないか?まずこれを疑う必要あります。
代表的な病気は、慢性腎臓病と二次性高血圧症です。
慢性腎臓病
腎臓はおしっこを作る臓器ですが、様々な原因で悪くなります。徐々に働きが低下してくる病気を、総称して慢性腎臓病と言います。
慢性腎臓病は、高血圧、糖尿病、高脂血症、加齢、塩分過多、肥満などが原因となります。
腎臓は、血圧もコントロールしています。そのため慢性腎臓病が悪くなると、血圧も上昇してきます。
最近は検診でも腎機能として血清クレアチニン、尿蛋白を検査することが多くなりました。
慢性腎臓病がみられる高血圧の治療は、クスリを慎重に選ぶ必要があります。
二次性高血圧症
血圧を上げるホルモンの異常で起こる高血圧です。全体の10%と、決して少なくありません。
代表的な二次性高血圧症は、原発性アルドステロン症、褐色細胞腫、腎動脈狭窄症、クッシング症候群です。
特徴は様々ですが、クスリを使ってもなかなか血圧が下がらず、また突然の頭痛や動悸などもみられます。
検査は、ホルモンの採血と腹部エコーか腹部CTです。検診ではまずわかりません。
治療はホルモンを作る腫瘍(できもの)を手術で取る、狭くなった血管を広げる、クスリを調整するなど、病気によって選択します。
クスリが合っていない?
血圧の薬はたくさん種類があり、それぞれ特徴があります。
年齢、性別、生活習慣、持病により、使うクスリを変えていきます。
東北地方の人
塩分摂取が多い傾向ため、利尿剤という身体から塩分を抜くクスリが効くときがあります。塩分摂取量は、尿検査で調べることが出来ます。
働き盛りの男性
仕事のストレスで血圧が高いことがあり、β受容体遮断薬、アンギオテンシン受容体拮抗薬などが効くことが多いです。
片頭痛の人
予防薬としても使うβ受容体遮断薬を、選びます。血圧も下がり、頭痛の回数も減ってきます。
原発性アルドステロン症で手術適応にならない人
ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬にカルシウム拮抗薬を組み合わせると、下がってくることが多いです。
妊娠中の人
中枢性交感神経抑制薬でコントロールします。これは昔から使われていて、胎児に影響がとても少ないクスリです。これでも十分下がらないときには、β受容体遮断薬や一部のカルシウム拮抗薬を使います。
授乳中の人
β受容体遮断薬やカルシウム拮抗薬で、赤ちゃんへの影響を小さくします。
なお、妊娠と薬情報センターも御覧下さい。
妊娠中・授乳中のお薬Q&A:国立成育医療研究センター
前立腺肥大症の人
α受容体遮断薬を使うと、おしっこのでも良くなり、血圧も下がってきます。ただ、立ち上がったときにふらつきが出ることがあるため、注意が必要です。
若年勃起不全(ED)
血圧の薬の中にはEDの副作用を持ってるモノもあるため、若くしてEDがある高血圧の人は、一度クスリを見直します。
動悸
不整脈以外の動悸の場合、β受容体遮断薬を使うと症状がとれることがあります。
心臓病
心不全の治療としても使う、アンジオテンシン変換酵素阻害薬やβ受容体遮断薬、ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬を積極的に使います。
血圧が下がらない原因を探そう
以上、血圧を上げる病気と血圧の薬について述べてきました。
血圧が下がらない場合、原因をいろいろ探してゆくと、最終的に下がる事がほとんどです。悩んでいるヒトは一度ドクターに相談してみて下さい。