「脂肪肝」・・・イヤな響きです。健康診断で指導された方もいるでしょう。
「肝臓に脂肪がたまっているだけ」
「自覚症状もないし」
と、放っているヒトも多いです。
でも、そのままにしておくと非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)や非アルコール性脂肪肝炎(NASH)となり、進行すると肝硬変や肝臓がんになることも。
成人男性で約30%、女性で約10%といわれています。
計算上、山形県には男性で30万人、女性で10万人となります。
内臓脂肪が原因です。
1日で使い切れないカロリーを摂ると、あまったエネルギーは中性脂肪に変わり、内臓脂肪が増えて脂肪肝が出来上がります。
男性は肥満で脂肪肝になるコトが多いのですが、女性は細くてもなる方がいます。
特に甘いもの好きは、要注意。スイーツで急激に増えた血糖は中性脂肪に変わり、脂肪肝になりやすいのです
肝臓に脂肪がたまると腫れて、「非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)」になります。
放っておくと「非アルコール性脂肪肝炎(NASH)」になり、長く続くと肝臓が硬くなる「肝硬変」へと進み、「肝臓がん」が出てきます。
脂肪肝は糖尿病、高血圧、高脂血症、高尿酸血症も一緒に起こすことが多いです。特に糖尿病の脂肪肝は肝硬変・肝臓がんに発展しやすく、要注意です。
なお、呑みすぎによる肝臓病はアルコール性脂肪肝疾患(AFLD)をも呼ばれ、別の対応が必要になります
1)血液検査
検診でもおなじみの AST(GOT)、ALT(GPT)、γ-GTPは重要です。
血液データは脂肪肝が進むと上昇しますが、さらに悪くなると逆に低下し、肝硬変では基準値に戻ってきます。以前高かったヒトが正常化したら、要注意です。
2)腹部エコー
脂肪肝は、超音波検査で白く見えます。肝硬変になると硬さの数値が上昇し、表面がでこぼこになります。
肝臓がんの早期発見にも、腹部エコーは有効です。
食事と運動が二大柱です。太ったヒトの脂肪肝は、減量により劇的に改善します。そのためには食べる量を減らし、動くことが最も大切です。
また細いヒトの脂肪肝も、食事と運動で改善します。
1)食事
カロリーを計算するのは面倒くさい。ザクッと食事内容をとらえると良いでしょう。
脂肪肝のヒトの食事を見ると、とにかく量が多い。さらに「ラーメンだけ」「丼もの」「そばだけ」と、バランスが悪いことが特徴です。
痩せた脂肪肝は、糖質に片寄っています。
食事は主菜・副菜・汁物・野菜といった「定食」をイメージして選ぶと良いでしょう。もちろん大盛りは厳禁。
間食で甘いものを食べるなら食事の炭水化物を減らすなど、工夫すると良いです。
実はおやつより飲み物が問題なことも。甘い缶コーヒー、ジュース類、スポーツ飲料は飲みすぎると脂肪肝になりやすいので、控えましょう。
2)運動
脂肪肝には「有酸素運動」「筋トレ」の両方とも有効です。
カラダを動かすことで、体重が減らなくとも肝機能は良くなってきます。
でも時間を取って運動するのは、難しいもの。
「できるだけ階段を使う」「トイレは上の階を利用する」「こまめに家事をする」など、日常生活に少しずつ運動を取り入れると、長続きしやすいです。
3)飲み薬
残念ながら、脂肪肝を改善させる飲み薬・サプリはありません。
しかし、血圧・糖尿病・高脂血症の薬の一部が、脂肪肝改善効果を見込めるため、合併しているときには優先的に処方することがあります。
脂肪肝はありふれた病気ですが、放っておくと悪くなります。
健康診断で肝臓をチェックされたら、かかりつけ医や消化器内科を受診することが大事です。
実は睡眠不足も肝臓に負担をかけます。充分な睡眠時間と良い睡眠環境を作ることを考えてみてください。
普段の体調管理で、脂肪肝は予防可能です。
バランスが良く適切な量の食事と、定期的な運動で適正体重を維持することを意識しましょう。