脂質異常症は、特に女性の健康管理で重要な病気です。調査によると、成人女性の約4人に1人が脂質異常症と診断されています。その主な原因は、女性ホルモンの変化にあります。特に更年期以降、女性は脂質異常症のリスクが高まるため、早めの予防が重要です。・脂質異常症(高コレステロール血症・高脂血症)|橘医院 (山形市・内科クリニック)女性と年齢別脂質異常症のリスク脂質異常症は50歳以降の女性で急増します。引用:統計で見る日本数値よりグラフ作成これは閉経により女性ホルモン「エストロゲン」が減少し、血中脂質が増加するためです。年齢が進むにつれて動脈硬化のリスクも高まるため、注意が必要です。エストロゲンと脂質異常症の関係 エストロゲンは脂質の分解や産生を調節する重要なホルモンです。しかし、更年期以降に減少すると以下の変化が見られます。1)LDLコレステロール(悪玉)の増加:閉経後に上昇し、60歳頃には男性より高くなることが一般的です。2)HDLコレステロール(善玉)の減少:動脈硬化を防ぐ善玉コレステロールが低下し、脂質バランスが崩れます。3)中性脂肪の増加:血中の中性脂肪が急増します。これらの変化は動脈硬化を進行させ、女性の健康に重大な影響を与えます。女性の脂質異常症を改善するにはどうすればよい?それは生活習慣を見直し、改善することです。1)脂質異常症を予防する食生活 ・魚、野菜、果物、未精製穀類を積極的に摂取する。 ・肉の脂身や乳製品を控えめに:特に飽和脂肪酸を多く含む食品は控えめにし、魚や植物性油を取り入れると良いです。・大豆製品(納豆、豆腐など)は女性ホルモンに似た働きをするため特におすすめです。 ・食物繊維を含む食品(玄米、野菜、きのこ類など)を取り入れる。2)脂質異常症に効果的な運動 ・有酸素運動(ウォーキングやサイクリング)を日常生活に取り入れる。 ・筋力トレーニング(スクワット、軽いダンベル運動など)を組み合わせる。 ・運動は1日30分以上を目安に、無理のない範囲で続けましょう。・運動が難しければ、エレベーターの代わりに階段を使う、買い物で少し遠回りするなど、週に合計150分の運動を目標に、体を動かす工夫をしてみてください。3)その他の生活習慣 ・禁煙:タバコは善玉コレステロールを低下させ、脂質異常症を悪化させます。 ・アルコール制限:適量を守り、休肝日を設ける。 ・適正体重の維持:標準体重(身長(m) × 身長(m) × 22)を意識する。 ・ストレス管理:運動や趣味を通じてストレスを軽減する。妊娠中の女性と脂質異常症妊娠中はホルモンの影響で脂質が増加しますが、胎児の成長に必要な変化です。出産後に通常の値に戻ることが多いのですが、妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病では健康に影響する可能性もあります。必要に応じて産婦人科医に相談してください。まとめ脂質異常症は特に更年期以降の女性に多く、心血管疾患のリスクを高めます。食事や運動などの生活習慣を見直し、禁煙・節酒・適正体重の維持を心がけることが大切です。健康診断を定期的に受け、LDLコレステロールや中性脂肪値を確認することで、脂質異常症を早期に発見し、リスクを最小限に抑えることができます。また脂質異常症は高血圧や糖尿病といった他の生活習慣病と関連が深いため、これらの予防・管理も重要です。女性の健康を守るためにも、日頃から生活習慣を整え、脂質異常症を防ぎましょう。